意匠

何か新しいモノを考えたとき、特許出願を検討する方は多いと思いますが、物品の形状等を保護できる意匠登録出願も検討してみてください。

意匠登録出願を行うメリットは以下のようにとても多くあるため、中小企業さんにもオススメできます。

意匠登録出願するメリット

高度なデザイン性は不要

意匠法上は意匠登録のために美感が求められていますが、実務上は美感とは無縁に思えるようなBtoBの商品でも意匠の登録は可能です。

美とは程遠く機能面が最も重要と思われがちな、例えば工場で使う道具・機械も、100円ショップで扱う日用品も、意匠登録の対象です。

つまり、意匠権を取るためには斬新なデザインである必要はありません。形状を有する物品であれば、美しくないことを理由としては出願が拒絶されません。
今までそのような形状の物が無ければ意匠登録可能です。

特許権を取れないものでも意匠権を取れる場合がある

特許査定になるためには、新規性と進歩性を満たす必要があります。
他方、意匠が登録査定になるためには、新規性と創作非容易性を満たす必要があります。

特許の進歩性と、意匠の創作非容易性とを比べたとき、後者のほうが明らかにハードルが低いため、進歩性を有しそうにないからと特許権取得を諦めるような場合であっても、多くの場合で意匠権を取得可能です。

技術としては既存のものを利用しているけど、デザインは画期的という商品はよくあります。
このような場合、意匠登録出願の出番です。

例えば、新しい時計を作ったとき、ムーブメントについては購入品を使用しているけど、時計全体のデザインは真似されたくない、といった場合に意匠登録出願が適しています。

コストが低廉

特許では審査請求が必要であり審査請求費用も馬鹿になりません。
一方、意匠登録出願では出願費用さえ払えば全て審査されるため、審査請求費用が掛かりません。

具体的には、特許の審査請求では印紙代(特許庁費用)が15万円程度掛かりますが、意匠ではこれが掛かりません。

粗悪な模倣品の流通を差し止めることが可能

他人が販売している製品が、外観を精巧に模倣しているけど中身は粗悪品であるといった場合には、いくら内部構造に関する特許権を取っていても特許権で差し止めることはできません。
しかし、意匠権は外観の権利なので、外観が模倣されていれば意匠権の権利が及びます。

例えば、微弱電流を流す機能を有する美顔ローラーがあり、それを特徴とする特許権が成立したとします。

その美顔ローラーと外観が全く同じ粗悪品を第三者が販売した場合に、粗悪品が「微弱電流を流す機能」を備えていないと、その粗悪品は特許権を侵害しません。
つまり、その粗悪品の販売を止めさせることはできません。

他方、特許とは別に美顔ローラーの意匠権を取得していれば、「微弱電流を流す機能」の有無にかかわらず、その粗悪品は意匠権を侵害する可能性が生じます。

このように粗悪品の場合には性能が低いせいで特許権の権利範囲が及ばないことがありますが、外観が似ていると意匠権の権利範囲は及ぶため、その粗悪品の販売をやめさせることができます。

その他の例としては、内部構造に特徴があるゴルフクラブについて外見は完全コピーしているけど内部構造は全く異なるといった場合、やはり特許権では保護できませんが、意匠権を持っていれば販売をやめさせることができます。

早期に登録可能

意匠は出願から半年から1年程度で登録されます。
そのため、特許権取得までの期間を意匠権でカバーすることもできます。

権利期間が長い

権利期間が最大で出願から25年なので、ライフサイクルが長い製品を長期間保護可能です。

つまり、定番商品となるような商品について意匠権を取っておくととても強力です。

そのように長期間販売を続けられるような商品に育てば、それ自身がブランドにもなり得ます。

拒絶になったとき公開されない

意匠では特許のように一定の時期が来たときに公開される制度がなく、登録になったものしか公開されません。
つまり、意匠では拒絶査定になったときには公開されないので、それを他者に知られません。

このように、意匠登録が難しいと予想されるときでも、意匠登録出願について費用が掛かること以外のリスクはありません。

意匠権ではデッドコピーしか保護できないとは限らない

意匠権で保護できる範囲は同一または類似の範囲なのですが、一般的には「この類似の範囲は極めて狭いため、事実上同一のもの=デッドコピーしか保護できない(と思ったほうがいい)」と言われています。

また、その物品について他者によってたくさんの意匠が創作されることで、後発的に類似の範囲=権利範囲が狭くなることがあります。

しかし、関連意匠を利用することで権利範囲を拡張できるとともに、後発的に意匠権の権利範囲が狭くなることも防止できます。

技術面にポイントがある場合に意匠で守れることも

意匠はあくまでも外観に関する権利です。

一方、物品の特定部分に技術的特徴があれば、審査段階において当該特定部分が当該技術的特徴に起因するデザインであることを主張することで、引用文献との違いを主張できるケースがあります。

設計変更しにくい箇所を意匠で押さえると強い

意匠は類似の範囲が狭いとはいえ、設計変更しにくい箇所を意匠権で押さえれば、類似範囲の狭さは大きな問題になりません。

技術的に形態の選択の幅が狭い商品について、その形態について意匠権を取ってしまえれば、他社は侵害回避が難しくなります。

仮に権利範囲が狭くても意匠権は独占権である

自社が実施するものについて、独占権を持っているという意味は大きいです。

最も避けなければいけないことは「他者の権利侵害となってしまい、予定通りの製造・販売ができなくなってしまうこと」であって、似ている製品を他社に作らせないことは二の次です。

つまり、その製品について自社が独占する権利である意匠権を持つことで、安心して製品の製造・販売を行うことができます。

意匠権を取らなくても不正競争防止法で保護され得るのですが、その保護は最初の販売から3年までなので、意匠権を取っておかないと4年目以降はマネされ放題です。

意匠権は見た目の権利なのでわかりやすい

意匠登録公報には図面が公開されるので、知財の知識が無い一般の方にも「この形を真似してはいけないんだ」とわかりやすいものとなっています。

したがって、意匠権を取ることで真似することについて抑止力が大きくはたらきます。

また、意匠では侵害しているか否かの判断において内部構造等を確認する必要がありませんから、税関において輸入差止申立制度という制度を利用することでコピー品を止めてもらいやすくなっています。

別の観点では、見た目に表れるとは限らない技術については特許出願せずにノウハウ管理という方法を取ることもできますが、意匠は見た目ですのでノウハウ管理には適しておらず、やはりこの点からも外観が新しい場合には意匠権を取っておいたほうがいいと言えます。

意匠権は潰れにくい

無効審判によって意匠権が消滅する可能性は、無効審判によって特許権が消滅する可能性よりも低いというデータが出ています(特許年次報告書2022年版)。

創作容易を理由とする無効審判請求が多いですが、無効にはなりにくいといった実情があります。

当事務所に意匠登録出願をご依頼いただくメリット

他の特許事務所では商標担当者が意匠を兼務で担当していることが多くあります。

しかし、意匠は創作物を扱うものですから、商標よりも特許のほうが親和性が高いと考え、当事務所では特許担当の弁理士が意匠も担当いたします。

相談者様から特許相談を受け、特許では保護が難しいけど意匠でなら保護できそうな場合に、特許だけを担当している弁理士であれば、意匠という選択に考えが及ばず「特許では保護が難しいですね」だけで相談が終わってしまう可能性があります。

しかし、弊所のように特許と意匠を同じ弁理士が担当していれば「これで特許を取ることは難しいけど意匠だといけるかも?」と気付きやすいため、案件ごとに適切なアドバイスが可能です。

費用

  1. 相談料
    初回:11,000円/時

    2回目以降:27,500円/時
    打ち合わせから2週間以内に意匠登録出願をご依頼いただいた場合、初回相談料は下記2.の出願費用に含まれます。
  2. 願費用
    弁理士手数料:143,000円
    印紙代:16,000円
    写真で出願する場合:55,000円追加
  3. 拒絶理由通知時(拒絶理由を通知されることなく登録されたときは不要)
    意見書費用:110,000円
  4. 登録費用
    成功報酬:77,000円
    登録料の納付手数料:11,000円
    印紙代:8,500円

つまり、拒絶理由が通知されない場合、出願時と登録時の合計で255,500円です。

ご依頼までの流れ

(1)ご予約(依頼者様→弊所)

お問い合わせフォームに以下の内容をご記載ください。
・打ち合わせ希望の日時(第三希望まで)
・来所 or オンラインのいずれで打ち合わせを希望するか

一方で、
・責任者や創作者等、打ち合わせに大人数で参加したい
・現物が大きくて運べない
・製造現場を見てほしい
といった場合にはご依頼者様の会社まで伺います。

(2)打ち合わせ(依頼者様、弊所)

必要に応じて意匠制度の一般的なご説明を行うとともに、ヒアリングを行います。

(3)お見積書の送付(弊所→依頼者様)

打ち合わせ内容に基づき、出願費用に関するお見積書を送付します。

(4)正式なご依頼(依頼者様→弊所)

進め方や費用に納得いただいた上で、メール等で正式なご依頼をしてください。

(5)先行意匠調査(弊所)

先行意匠が無いかJ-PlatPat簡易調査を行います。
しかし先行意匠の未発見は「無いことの証明」ではありませんので、調査には限界があることをご理解ください。
また、カタログや自社ホームページ、SNS、YouTube等にアップされているものも拒絶の原因となりますが、それらの有無については調査できませんので、依頼者様の責任でそれらに公開する前に出願をご依頼してください。

なお、出願前に公開してしまっても1年は意匠登録出願できますが、公開の回数が多ければ多いほど新規性喪失の例外の手続の費用が増えますので、原則、公開前に出願しましょう。

(6)出願書類の作成・確認(弊所→依頼者様)

出願書類を作成後、依頼者様に内容を確認していただきます。

(7)出願(弊所→特許庁)

出願書類における誤りや依頼者様の疑問点が無くなったら、意匠登録出願を行います。
出願後、その書類とともに請求書を依頼者様へメールでお送りしますので、そのメールの翌月末までにお振込みください。

ご相談のタイミング

(1)商品の販売、サービスリリース、営業活動の遅くとも1ヶ月前
依頼後すぐに依頼者様の案件にすぐに着手できるわけではありませんので、余裕を持ってご依頼ください。

(2)どのような観点で考えると意匠権を取りやすくなるのか事前に知りたいとき
販売等はだいぶ先であっても早めにご相談いただくことで、意匠権取得の観点から弁理士がコメントできるので、修正や出戻りが少なくなり、結果的に開発が早く進みます。

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