更新されないことを待ちつつ商標登録出願のチャンスを狙う

商標

商標登録をしたい名前があっても、すでに他者がその商標を登録している場合には、商標登録出願しても拒絶になってしまいます。
そのため、相手の商標権が更新されずに権利期間が切れるのを待って、出願のチャンスを狙うことが一つの戦略となります。

ここでは、他者の登録商標が更新されないことを待ちながら出願チャンスを伺う際のポイントについて解説します。

他者商標権の更新と出願待ち

商標権は登録日から10年間が有効で、満了日の半年前から満了日までに商標権者が更新登録申請を行うことができます。
更新登録申請が行われると、さらに次の10年間も同じ商標権者がその権利を維持できます。

しかし、もし商標権者が更新手続きを行わなければ、その権利は消滅します。
つまり、自社の商標登録出願を妨げる他者の商標権が更新されなければ、自社が商標を出願し、登録できるチャンスが訪れることになるのです。

図1:満了日経過後に出願

更新の猶予期間

他者が権利の満了日までに更新登録申請を行わなかった場合でも、さらに6か月間の猶予期間が設けられています。
この猶予期間中に更新する際には、通常の2倍の印紙代が必要になりますが、それでも更新が行われる可能性があります。

この猶予期間も注視しながら、更新が行われなかった場合に備えて、すぐに出願できるよう準備を整えておくことが大切です。

一方で、「満了日を過ぎた後に、通常の2倍の印紙代を払ってまで更新するのか?」と考えると、満了日経過後に更新される可能性は低いとも考えられます。

他者の権利が切れた瞬間を狙う駆け引き

もし商標権を持っている他者が更新を行わない場合にはその商標権の権利が切れ、それと同じ商標を自社や第三者が商標出願し登録できる状態になります。
このとき、万が一第三者も同じ商標の登録を狙っていると、出願日が1日でも早い方が優先されて登録されます。

図2:第三者に割り込まれてしまった

図2のように第三者に割り込まれてしまうと、元々の商標権者が更新しなかった場合でも自社の商標登録出願は第三者の商標登録出願を理由として拒絶になってしまいます。

そのため、更新されずに権利が切れた/切れる瞬間を見逃さず、タイミングよく出願を行うことがポイントです。

図3:更新しないと予想して満了日前に出願

図3のように「更新されないだろう」と予想して商標権の満了日前に出願すると、第三者に割り込まれる可能性は低くなるでしょう。

しかし、更新期間が残っているにもかかわらず勇み足で商標登録出願したわけですから、図4のように自社の出願後に商標権者が更新手続きを行った場合、その更新が出願より優先されてしまい、自社の出願は拒絶されることになります。

図4:出願したのに更新されてしまった

こうした駆け引きの中で、商標権者の動向を注視しつつ、存在するかしないかもわからない第三者のことも想像し、最適と思われるタイミングで出願する判断が重要です。

まとめ

他社の商標権が更新されないことを待ちながら出願のチャンスを狙うのは、どうしても他者の動向に左右されるため、自分で完全にコントロールできるものではありませんし、他人が更新するかどうかや割り込もうとしている第三者がいるかどうかは、専門家である弁理士にもわかりません。

したがって、商標登録出願を行う出願人自身の決断が必要で、最終的にはリスクを取った経営判断が求められます。

更新手続きの期限や第三者の動きを注視し、あとは適切にリスクを取って出願することで、商標を取得できる可能性は高まります。

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