近年、資金調達やマーケティングの観点から、クラウドファンディング(以下、クラファン)を活用することが当たり前に行われています。
二番煎じの商品でクラファンをやろうとはなかなか思いませんよね?
世の中に無いプロダクトを作ったからクラファンで資金調達や販売促進するわけですので、そのプロダクトは特許権や意匠権で保護し得るもののはずです。
特に、デザイン性に優れた多くのプロダクトがクラファンに出されているので、意匠権はクラファンとはとても相性がよく、特許庁からも「クラウドファンディングと意匠権」という活用事例集が出ています。
他者の知財を侵害するリスク
クラファンに限りませんが、新商品を販売する場合には他者の特許権や意匠権、商標権を侵害しないことを自分の責任で確認しておかなければいけません。
MakuakeやCAMPFIREといったクラファンのプラットフォームでも、自社プラットフォームで知的財産権の侵害が起きることは当然望んでいません。
例えば注意事項がこのように設けられており、知的財産通報フォームもプラットフォーム内に用意されています。
せっかく新商品でクラファンするわけですから、侵害の疑いでクラファンプラットフォームへ通報されないように事前に確認しましょう。
模倣されるリスク
プロダクトを新しく作り、その存在を多くの人に知ってもらうことがクラファンの大きな目的の1つです。
クラファンのプラットフォームを使って新商品の情報が拡散されるだけでなく、各種SNSも併用することで多くの人の目に触れます。
また、クラファンでは目標金額を決めますが、現在の支援総額も表示される場合が多くなっています。
このように注目されているプロダクトがどれなのか支援者にとって一目瞭然で、多くの資金を集めているプロダクトがさらに多くの資金を集めることができるという好循環に入ることも少なくありません。
人気がある商品を知ると、気になって自分も欲しくなりますよね。
しかし、資金を多く集めたプロダクトがどれなのか一目瞭然ということは、模倣者にとっても同様です。
つまり、どの商品を模倣すれば儲かりそうなのかひと目でわかってしまうので、模倣者に狙い撃ちで真似されてしまいます。
したがって、クラファンを行う前に自社製品について意匠登録出願や特許出願をしておくことは重要です。
ここで、意匠や特許を出願する前にプロダクトが他人の目に触れると原則として権利を取れなくなってしまいます。
新規性喪失の例外の手続を行えば公開から1年以内であれば救済されますが、その1年以内であってもその間に模倣品が流通してしまうと、それを理由として意匠権や特許権を取れなくなりますから、新規性喪失の例外に極力頼らず、公開前に出願することが大切です。
また、商品名を付けたりロゴを作っている場合がほとんどでしょうから、商標を横取りされないために商標登録出願も必要です。
もちろん、意匠権や商標権を取るためにはお金がかかります。
しかし、クラファンは資金調達の機会ですし、意匠や商標の出願費用もクラファンの目標金額に含めておけばいいので、クラファンを行わない場合よりは意匠等の出願費用も負担になりにくいのではないでしょうか。
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