原則、公開すると特許権や意匠権を取れなくなる
世の中で知られている物・技術については原則として特許権や意匠権を取れません。
これは当然だと思うかもしれませんが、その「知られている」とは自分で公知にした場合も含まれます。
例えば、以下のようなことを自ら行うと特許や意匠を取れなくなる可能性が高くなります。
- 見込み客への営業活動
- NDAがない他社の社員が自社工場を見学
- 製品の販売
- クラウドファンディング
- X(旧Twitter)、インスタグラム、Facebook、TikTok等のSNSへのアップロード
- YouTubeにアップロード
- 展示会への出展
- 学会発表/論文発表
- ホームページ・ブログへのアップロード
このことを知らなかったせいで、特許を取れず後悔される方が後を絶ちません。
基本的には、自社の人以外に見せたらそれだけでアウトと思っておいたほうがいいです。
自社で公開し、自社の特許出願が拒絶されてしまう場合はまだマシです。
共同開発をして共同出願を行うことはよくありますが、共同出願の前に一方の会社や大学が発表してしまっていたせいでその共同出願の審査において拒絶になってしまうと悲惨です。
他方の会社や大学が怒ってしまい、共同プロジェクトが強制終了となることだって考えられます。
新規性喪失の例外
一方、その製品・サービスがユーザーに受け入れられるかどうか、販売してみて売れ行きを見たいですよね。
そこで、例外的に最初の販売等から1年間はその自分の行為について特許庁に目を瞑ってもらい無かったことにしてもらう手続き(新規性喪失の例外)があります。
しかし、これはあくまでも例外です!
新規性喪失の例外の手続きをしていても、他人がその内容を特許出願すると負けてしまうので、新規性喪失の例外があるからといってそれに頼り過ぎてしまうことは極力止めましょう。
また、欧州や中国では新規性喪失の例外の要件が厳しく、事実上、新規性喪失の例外を使えないと思っておいたほうがいいです。
新規性喪失の例外があるからと気軽に公開してしまうと、その後でそれらの国に特許出願したくなっても取り返しがつきません。
新しい物を考えたときは特許権を取りたくないか、自ら公開する前に考えてみてください。
なお、審査における新規性・進歩性の判断基準時は審査のときではなく出願時ですから、出願さえしてしまえば、審査前に公開しても審査に影響はありません。
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